自作の漢詩 比留間副会長 |
秋 声 | 比留間 長一 |
大地斜陽散歩行 | 大地に斜陽散策すれば |
野花淡々已秋声 | 野花淡々とし已に秋 |
吟虫切々孤単著 | 鳴く虫切々として寂寞高じ |
月明誰知夜来清 | 月明の清冷誰が知ろう |
大地に陽は傾き散策していると 野花は楚々と咲いてもう秋の気配だ、 鳴く虫は切々として寂しさを増し 月明りは澄んでひんやりとしている |
初春煙雨 | 比留間 長一 |
初春煙雨故郷情 | 初春の煙雨故郷の情 |
一酔陶然野外風 | 一酔陶然として野外の風 |
細細粛々連夜雨 | 細細粛々連夜の雨 |
寒灯夢幻寂無声 | 寒灯夢幻寂然に声なし |
初春のけぶるような雨に故郷を思い 一酔し陶然として野外の風をしる 微雨は静かに連夜降りつづき 寒灯は夢幻のように寂然として静まりかえる |
元旦之夢 | 比留間 長一 |
乾坤景物曙光紅 | 天地の景物曙光赤く |
瑞気洋々度恵風 | 瑞気洋々恵風渡る |
万戸門松身尚健 | 全戸に門松皆健やか |
歳朝四海酒杯中 | 元旦の世界酒杯の中に |
天地の自然に夜明けの光が赤く差しこみ、 めでたい雲気に恵風が吹いている。 各家庭には門松が飾られ人々は健やかにしていて、 元旦の世界はわが酒杯の中にあるようだ |
訪絲編之路 | 比留間 長一 |
砂漠大地連綿茫 | 砂漠の大地連綿と広がり |
天山流水緑洲創 | 天山流水して緑洲を創る |
人人美酒生歌舞 | 人々の美酒は歌舞を生じ |
民族多地益昌盛 | 民族の多き地益々栄えん |
沙漠の大地は連綿としてひろがり 天山山脈から流れてくる水は緑の地をつくる 人々が美酒に酔えば歌と踊が自然に起こり 多民族の地はますます栄えるであ |
秋 郊 | 比留間 長一 |
散策出城百里晴 | 散策し城出ずれば百里晴れ |
鐘声四面野情清 | 鐘声四面に広がり野情清し |
尋詩終日青山下 | 詩を尋ねて終日青山の下 |
気爽風香夕月生 | 気爽に風香り夕月生ず |
散策して町を出てみれば見渡すかぎり晴れ渡り、 鐘の音がひろがり自然の気配が清々しい。 詩を求めて一日中、緑濃い山の麓で過ごすと、 風が香り気分もさわやかになり、宵の月が顔を 出してくる。 |
消 夏 | 比留間 長一 |
炎々午熱砕江流 | 炎々たる午熱江流を砕き |
酷暑蝉鳴消夏遊 | 酷暑に蝉鳴く消夏に遊ぶ |
暮色雷鳴三十里 | 夕暮れの雷鳴三十里に轟き |
渓雲山雨汗珠収 | 渓雲山雨汗珠収まる |
白昼の灼熱は河流を砕くように感じ、 猛暑に蝉の鳴声を聴きながら遊んでいる。 しかし夕暮れともなれば雷鳴が遠くまで 轟きわたり、露が広がり山から雨が降り 出はじめれば、珠のような汗もやっと 収まってくるようだ。 |